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夏期の電力需給対策の骨格

夏期の電力需給対策の骨格(案)が示された。

http://www.meti.go.jp/earthquake/electricity_supply/0408_electricity_supply_01_00.pdf
20110409091539

硬い文章だけど、必死感があって、好感触

一部抜粋

5.国民の叡知の結集
・「節電」への社会的関心がかつてないほどの高まりを見せる中、例えばポータルサ イトを活用して国民から「節電」のアイディアを広く募集するなど、積極的に国民の意 見を募集し、国民運動につなげる。

なんか、やりたい。

全文転載

相変わらずPDFでの配信なので、モバイルな皆様向けに全文転載しておきます。

夏期の電力需給対策の骨格(案)
平成23年4月8日 電力需給緊急対策本部

はじめに
未曾有の大震災により、東京・東北電力管内の供給力は大幅に減少。これによっ て生じた需給ギャップに対処するため、やむを得ない緊急措置として計画停電を実 施。これまでのところ、両電力管内の需要家の方の節電への取組もあり、「大規模 停電」を回避。
しかし、今後、一旦は改善する見込みの需給は、夏に向けて再び悪化。これに対 し、需給両面の抜本対策を講じなければ、計画停電とその下での弊害から脱却でき ない。このままでは、国民生活やとりわけ国の活力の源である産業活動が疲弊し、 震災からの復興と日本経済の再出発は望めない。
このため、官民一体となった創意工夫によって、この難局から脱するべく、以下の ような認識とそれを踏まえた対策をどう取り進めるかについて、両電力管内の国民 各層や産業界の理解と叡知を集める協力をお願いしたい。

1.今夏の電力需給の見通し
(1)東京電力の今夏の需給バランス
東京電力の供給力は、震災直後に約3,100万kWまで低下した後、3月末には 3,600万kW程度まで回復。今後、発電所の追加的な復旧及び定期検査からの復 帰等により供給力は徐々に増加。現時点では、需要のピークを迎える夏までには、4,500万 kW前後の供給力を見込む。 (注)揚水は、需給バランス悪化により、夜間の汲み上げが不十分になるおそれがあり、供給力に含まず。
また、日々の供給力は、他社との融通や天候により変動がありうる。

・今夏のピーク時需要は、節電意識の浸透等により減少が見込まれるものの、現時 点では、最大ピークとして約5,500万kWを想定。(昨年夏は、気温が著しく高かっ たこともあり、最大ピークは約6,000万kW)

・この先当分の間、計画停電が発動される可能性は低くなっているが、夏には需給 ギャップは再び拡大。現時点での需給見通しでは、最大ピーク時に1,000万kW程 度、昨年並みのピーク(約6,000万kW)を想定した場合には1,500万kW程度の 供給力不足の恐れ。

(2)東北電力の今夏の需給バランス
東北電力の供給力は、震災直後に約900万kWまで低下した後、3月末には 1,100万 kW 程度まで回復。今後、長期計画停止火力の復帰等を行い、現時点で は、夏までに1,150万kW 前後の供給力を見込む。

・今夏のピーク時需要は、震災の影響や節電意識の浸透等により減少が見込まれ るものの、現時点では、1,300~1,380万kW を想定。(気温が著しく高かった昨 年並みを想定すると、最大ピークは約1,480万kW)

東北電力管内では、当面、計画停電が実際に発動される可能性は低いが、震災 からの復興と冷房需要の増大等により、夏の需給ギャップが顕在化。現時点での需 給見通しでは、最大ピーク時に、150~230万kW 程度、昨年並みの猛暑を想定し たピーク(約1,480万kW)の場合は約330万kWの供給力不足の恐れ。

2.今夏の需給対策の基本的考え方
(1)計画停電からの脱却とその狙い
計画停電は、震災により大幅な需給ギャップが生じた中で、不測の大規模停電を 生じさせないために、やむを得ない緊急措置として採用。

・国民・産業界の節電への取組もあり、需給バランスは改善。需給が緩和していく中 で、今後とも節電への取組が維持・強化される前提で、計画停電の「実施が原則」 の状態から、「不実施が原則」の状態へ移行する。これは、原則として常に通電され ている状態への転換を意味する。

・一方、夏には、需給ギャップが大きく拡大。これに対し、計画停電の「不実施が原 則」の状態を維持するため、供給力の積み増しに向けたあらゆる手段を講ずるとと もに、事業活動のあり方やライフスタイルにも踏み込んだ抜本的な需要抑制対策を 講ずることが必要。

・その際、予めピーク時間帯の使用最大電力(kW)の抑制幅を示し、需要家が、操 業時間のシフトや休暇の長期化・分散などに創意工夫をこらして計画的に取り組む ことにより、消費者や、とりわけ国の活力の源であり、また復興の基盤でもある企業の生産・操業に極力支障のでないような仕組みを考えることが肝要。
(注)計画停電は、需給両面の対策で需給ギャップの解消ができなかった場合の、セーフティネットと位置付ける

(2)対策が必要な需給ギャップの量
・東京・東北電力管内においては、現時点での需給見通しによれば、1,000万kW 程度(東京)、150~230万kW 程度(東北)の需給ギャップが存在。さらに、昨年並 みの猛暑を想定した場合には、1,500万kW 程度(東京)、330万kW程度(東北) のギャップとなる。

・したがって、現時点では、最大で、東京で1,500万kW 程度、東北で330万kW 程 度のギャップを解消することを目標として、需給両面の対策を検討することとする。

・一方、需給ギャップの見通しは、今後の供給力の確保状況、需要見通しによって変化。したがって、需給見通しと必要対策量を随時見直し、需要抑制による国民・経済活動への負担が過剰なものとならないよう適切に情報提供することとする。
(注)特に需要見通しは、復興の状況、天候、節電意識等に左右され、今後の推移を見守る必要。
(注)電気事業法に基づく報告徴収を東京・東北両電力会社に命令し、需給見通しを提出させることとする。

(3)国民の参加
・供給側が一方的に需給ギャップを調整する計画停電に頼るのではなく、国民・産 業界等すべての需要側が、一層の創意工夫を行うことで対処するという、国民参加 の運動としていくことを目指す。

3.供給面の対策
(1)今夏に向けた短期的な対策
東京電力管内で500万kW程度、東北電力管内で50万kW程度の供給力の積
み増しを目指す。

・火力発電所(共同火力を含む)の復旧・立ち上げ 被災状況を確認し、復旧可能性を追求。

・緊急設置電源(ガスタービン等)の新設 系統余力の上限まであらゆる種類の緊急設置電源の導入を目指す。このため、
今般の震災により失われた電気供給力を補うための火力発電設備の設置につい て、災害復旧事業として位置付けられたものは環境影響評価法の適用除外とな ることを確認するなど各種環境整備に努める。

・自家用発電設備(自家発)の活用
管内の自家発設備を対象に調査を実施し、新規の調達先を含めて電力によ る買取の確実化を図る一方で、自家発設置者に対して、売電を要請。

揚水発電の活用

(2)今夏以降に向けた対策
・火力発電所(共同火力、IPPを含む)の復旧・立ち上げ
今夏までに立ち上がらなかった火力について、被災状況を確認し、早期の復旧可能性を追求。

・火力発電所等の新設・増設
現在建設中の火力発電所の運転開始の前倒しを目指す。

・緊急設置電源(ガスタービン等)の新設
海外からも含めた据え置き型ガスタービンの更なる設置を追求。

・地域間連系線の増強
既設FCの増容量の早期実現と更なる増強提言の具現化を図る。また、更なる地域間連系線増強に関する中期的なマスタープランを策定。

再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱等)の導入促進

・分散型電源の導入促進 ・関連の研究技術開発の促進

4.需要面の対策
東京電力管内で、少なくとも1,000万kW 以上、東北電力管内で280万kW以上 の需要抑制を図ることを目標とする。(供給面の対策と併せ、需給ギャップを十分に 解消できる量として想定。)

・大口需要家、小口需要家、家庭の部門毎に、抑制可能性も加味して需要抑制の 目安となる目標を設定し、以下のとおり、4月末の成案とりまとめまでに、需要家が 多様な措置の組み合わせ等によりこれを達成する方策を官民あげて検討し、最終 的に目標数値を決定することとする。

・使用最大電力(kW)を抑制することを基本とする。

・抑制目標は、東京電力東北電力管内それぞれの需給状況に応じて設定すること となるが、現時点では、両者において抑制すべき需要量が総需要量に占める割合 はほぼ同じであり、共通の目標を設定することとする。

(1)大口需要家 (契約電力500kW以上) 【25%程度抑制】
・個別の需要家(事業所)(注)は、ピーク期間・時間帯(例えば、7~9月(平日)の1 0時~21時)の最大使用電力を25%抑制するための具体的取組と、営業時間の 短縮・シフト、夏期休業の設定・延長・分散化等のライフスタイルの変革につながる 取組について計画を策定し実施。
(注)需要家には政府及び地方公共団体を含む。以下同じ。

・需要抑制の実効性及び需要家間の公平性を担保するため、電気事業法第27条 を活用。その際、事業活動の実態を勘案し、同業・異業の複数事業者が共同して需 要抑制を行うことも可能とするスキームの導入を検討。

(2)小口需要家(契約電力500kW未満の事業者) 【20%程度抑制】
・個別の需要家(事業所)は、ピーク期間・時間帯における最大使用電力の20%抑 制に貢献するため、具体的目標を設定するとともに、空調・照明機器の節電、営業 時間の短縮・シフト、夏期休業の設定・延長・分散化等をするための具体的取組に ついて自主的な計画を策定し、公表。所管省庁は、計画の策定、公表を促す。

・政府は、目標達成のためのメニュー例(空調、照明、OA 機器等の節電)を提示す るなど、これを支援するとともに、計画を策定した需要家が節電行動を分かりやすく 表示するよう促す。また、節電に積極的な需要家の取組を一覧できるサイトを立ち 上げ、その取組を国民に広く示す。

・所管省庁・業界団体・自治体等を通じて個別の需要家の取組を強力に進めるとと もに、適切な情報提供や巡回節電指導を行うことで、国民運動を展開。

(3)家庭・個人 【15~20%程度抑制】
・節電に向けた気運を高め、家庭に対してもピーク期間・時間帯における最大使用 電力の15~20%抑制を目標に、国民運動を積極的に展開。地方自治体、業界団 体や学校とも幅広く連携。
 - メディア、地方自治体、業界団体、学校等のあらゆるルートを通じ、家庭で 5の節電意識の徹底を図る。 
- 「どのような行動をとればどの程度節電ができるのか」(例:冷房を2°C高くすると、●kW の節電に貢献)といった分かりやすさに配慮しつつ、国民向 けの対策メニュー例を提示。

・節電を促す制度的手法についても検討。

・日々の電力需給データの「見える化」を徹底することで、消費者・事業者の節電意 識を一層高める。既に電力会社及び省庁ホームページで掲示されているところ、テ レビ放送・公共交通機関の画面表示等においても掲示されるよう働きかける。

・ピーク期間・時間帯に配慮した大型イベントの開催・放送を促すとともに、学校等に おける節電教育の実施を促し、家庭・個人の電力消費の抑制を進める。

5.国民の叡知の結集
・「節電」への社会的関心がかつてないほどの高まりを見せる中、例えばポータルサ イトを活用して国民から「節電」のアイディアを広く募集するなど、積極的に国民の意 見を募集し、国民運動につなげる。

6.今後のスケジュール
・今後、本骨格(案)を踏まえ、電力需給緊急対策本部及び同幹事会において、需 給対策の部門毎の対応のあり方、具体的な内容を検討。

・4月末目途で、電力需給緊急対策本部で、全体としての実効ある政策パッケージ を取りまとめる。